
awsを導入するメリットとして自社サーバーを運用する必要がなくなり、serverlessでシステムを活用できる体制を整えられることが挙げられます。serverlessにすることで色々な面でコストカットが可能ですが、サーバー監視は必要なくなるのでしょうか。
awsでserverlessにしてからのサーバー監視の必要性や考え方について確認して対策を立てていきましょう。
awsはserverlessにできるがサーバーは使用する

awsにするとserverlessでネットワークやシステムなどの運用が可能になることが知られていますが、この文脈で言うところのserverlessの意味を正しく理解できているでしょうか。このserverlessはサーバーを全く使用せずにストレージを共有したり、オンラインで利用可能な独自のシステムを利用したりすることができるという意味ではありません。
あくまでawsはクラウドサーバーを提供するサービスなので、割り当てられたサーバー領域を利用してシステムを稼働させたり、ストレージでファイルを共有したりする必要があります。awsの導入によってserverlessになるというのは基本的には自社サーバーの運用が必要なくなるという意味だと理解しておきましょう。
自社サーバーがなくなると監視はどうすべきか
awsを導入してからはserverlessになるとはいえ、サーバーを運用する必要があることに変わりはありません。awsのサービスによって、自社に割り当てられたサーバー領域も全て監視してもらえるのではないかと思うかもしれませんが、実際にはきっちりとした区別が行われています。
awsの運営側はサーバー本体に関して適切な監視をすることを明言しています。しかし、割り当てられた領域のストレージやメモリなどの割り当て、不具合への対策、セキュリティーの充実などについて全て割り当てられたユーザーが行わなければならないと明文化しているのです。
サーバー監視についても必要があるなら自前でやらなければならないというのが原則です。運営側は割り当てられた領域に対する監視を義務付けているわけではありませんが、適正な使用をすることは求められています。実質的には多かれ少なかれ監視して適切に利用できる体制を整えなければならないことは理解しておきましょう。
serverlessにするメリットはあるのか

サーバー監視に関してserverlessにすることでメリットがあるのかと疑問に思うかもしれません。確かにサーバー監視を全く行わなくて良い体制にしてコストカットをすることはできないでしょう。しかし、監視にかかるコストは大幅に削減できる可能性があります。
自社サーバーを運用する形からクラウドサーバーを利用する形に変更することで、サーバーのハード面に関する監視は必要なくなるからです。機器的な不具合によってサーバーが使えない状況になったり、動作が不安定になったりすることは特に懸念しなくても良くなります。
サーバーエンジニアとしてのスキルがそれほど高くなくても監視に対応できるようになるのはメリットでしょう。一方、awsを用いてserverlessにすることでサーバーの容量やメモリなどが不足したときにも対応しやすくなります。
自社サーバーの場合にはフル稼働させても足りない状況に陥ってしまうと物理的に増設することが必要です。しかし、awsの場合にはクラウドサーバーとして割り当てられている容量を増やしてもらったり、メモリを拡張してもらったりすることで対応することができます。
障害発生の理由が容量やメモリなどの場合には増設よりも速やかに対処できるのでトラブル対策としても優れている面があるのです。
serverlessにしてからの監視はどうするか
awsの導入によってserverlessにした場合には自社サーバーを運用していた場合にも、サーバーを構築していなかった場合にも監視体制をあらためて考えることが重要になります。自社サーバーの運用とは違うノウハウが必要になるので、今までと同じ体制で運用するのはあまり適切ではありません。
クラウドサーバーの運用に必要な技術と自社サーバーの運用に必要な技術の大半は同じものですが、共通しないものもあるので注意しましょう。特に今まで自社サーバーを運用していた状況から切り替えるときには社内エンジニアの再教育が必要になる可能性があります。
何れにしてもクラウドサーバーについて詳しいエンジニアがいないと監視は困難なのです。serverlessにしてからの監視では一般的なサーバー監視ツールを使って運用することも可能ですが、awsの運営側から提供されているツールを使って監視する選択肢もあります。
利用料金がかかるのは確かではあるものの、awsに最適化されているので慣れてしまえば使いやすくて柔軟性も高いのが魅力です。スキルが十分にあるエンジニアがいるなら無料のツールを使って監視することも可能ですが、あまりクラウドサーバーの運用に慣れていないエンジニアしかいないのであればawsの提供するツールの活用も検討しましょう。
必要に応じて外部委託も考えよう
awsによってserverlessにした後のサーバー監視に不安があるという場合には外部委託も検討するのが賢明です。エンジニアとしてもawsに一切触ったことがない場合には不安を抱えがちなので、安心して任せられるエンジニアがいないのなら外注で監視することも考えてみましょう。
外注するときには選択肢が三つあり、監視をしてアラートをメールなどで教えてもらう、自動制御によって障害時に適切な対応を取れるようにする、有人監視を実施してもらうというのが候補です。どれがベストかは現場の状況によって異なりますが、アラートだけで済むのであればコスト的には最も少なくて済むでしょう。
外部委託をする場合には監視にどんなツールを使用するかも確認するのが大切で、awsのツールを使う前提になっている場合には運用費用の負担がどちら側になるかも協議しなければなりません。また、自動制御を任せる場合にはその内容についての打ち合わせが必要になるのが一般的です。
ある程度のノウハウがあるエンジニアが協議に参加しないと現場の状況を考慮せずに業者の考え方に基づいた提案で任せてしまうことになりかねないので注意しましょう。
serverlessの意味を理解して監視体制を整えよう
awsの導入によってserverlessになるというのはサーバーを使わないという意味ではなく、自社サーバーの運用が必要なくなるという意味です。クラウドサーバーを使うことになるので、その監視体制を整えることは必要になります。
自社サーバーを運用するのとは違う技術も必要になるので、社内エンジニアで対応が難しければ外部委託も考慮しましょう。